「NFTアートで、アートに大変革は巻き起こるのか!?」
最近、アート周辺で話題になっているキーワード【NFTアート】(クリプトアート)!
絵描きやアーティストの方でも、知ってる方はまだ多くありません。アート業界よりも、技術者や投資家の周辺で盛り上がってる感があります。
この【NFTアート】とはいったい何なのか?絵描き・アーティスト目線で【NFTアート・クリプトアート】をわかりやすく解説します!
アートに大変革が起きる【NFTアート・クリプトアート】とは!?
【NFTアート】とは《オリジナル証明されたデジタル作品》
【NFTアート】を一言でいうなら、“オリジナルと証明された、デジタルデータのアート作品”です。
「え?僕らがネットにアップしてるイラストや写真だって、正真正銘のオリジナルじゃん!」と思うかもしれませんね。
たしかに、オリジナル作品ですね。でも、コピーされたらどうでしょう?デジタルデータなので、オリジナル作品もコピー作品も、全く一緒です。
コピーしたい時はカンタンで便利。その半面、オリジナル作品には価値が付けづらかったわけです。「コピーして無限に作れるから無料!」っていう…。
違法コピーされて海賊版を作られたり…なんてデジタルデータもたくさんありますよね。
そこに登場したのが、最新テクノロジー。ブロックチェーン技術による“NFT”!
この“NFT”によってアート作品を【NFTアート】にできるわけですが、NFTについてくわしくは、こちらにまとめています↓
>>>超簡単に【NFT】とは何か?→コピーできないデジタルデータです《誰でも一点モノが作れる!》
デジタルデータをNFT化することによって、「唯一無二のオリジナル作品」と証明できるのです。
こうしてNFT化したデジタル作品が【NFTアート・クリプトアート】と呼ばれ、話題になっているのです!(“クリプト”とは、仮想通貨の“仮想”のこと)
「ふぅん、それがスゴイことなの?」と、いまいちピンとこない方も多いと思います。
なので、NFT化した【NFTアート】によって、
- 今、どんなことが起こっているのか
- アーティストにはどんなメリットがあるのか
- どういうマーケットやサービスがあるのか
- どんなリスクがあるのか
- どんな未来が予想されるのか
「絵描き・アーティスト目線」で、ひとつづつ解説していきます!
【NFTアート】のバブルな現状と、主なクリプトアーティスト作品
元々“NFT”は、ゲームのNFTアイテムから盛り上がりました。
そこからアートに派生して、【NFTアート・クリプトアート】として取引されるようになっています。
一番有名なクリプトアーティストは、デジタルアーティストのBeeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)さん。
ハイクオリティな作品を、10年以上も毎日インスタにアップし続けているヤバイ人です。(上の写真も作品)
そんなヤバさによって、NIKEやヴィトンともコラボしていたBeepleさんですが、
今まで作品に約10万円以上の価格をつけたことは一度もなかったそうです。
ところが!Beepleさんの作品が、由緒正しきオークションハウス『クリスティーズ』にて出品されると…
あれよあれよという間に値が上がって…約75億円で落札!
これはクリスティーズで歴代3番目の高値とのこと。
この作品は、Beepleさんが毎日1枚ずつ撮った写真5,000枚を、14年間かけてコラージュした作品でした。
クリスティーズが初めて扱った純粋なデジタルアート。しかもNFTアート作品。
という注目もあり、アート史に残るような出来事でもあったため、このような値段がつきました。
これによって、アート界から「【NFTアート】には価値がある」ってお墨付きを与えられたような形となり。
他のさまざまな【NFTアート】作品~ゴミみたいな【NFTアート】作品まで、バブルのように売れる事態となっていました。
【NFTアート】は絵や写真だけではありません。
音楽の楽曲だったり、ダンサーのパフォーマンス動画だったり。
NFT化できるデータなら、なんでも【NFTアート】になります。
【NFTアート】と【クリプトアート】って違うの?
【NFTアート】と【クリプトアート】って、何か違いがあるの?と思うかもしれません。
「同じ意味」として使ってる人も多いですが、本来はちょっと違います。
【NFTアート】は、単に“作品をNFT化”したものです。なので「NFTになってる作品」という意味です。
【クリプトアート】は、暗号資産の文脈が入っていたり、ブロックチェーン技術を上手く使った作品だったり、という意味があります。
なので、文脈をわかって作られる【クリプトアート】はクリプト投資家の注目が集まったり、価値が高くなったりすることが多いです。
しかしNFTへの参入者が増えたことによって、【NFTアート】も【クリプトアート】も同じ意味で使われつつあります。
言葉の違いは気にしなくも良さそうですが、元々の意味を知っておくと良いでしょう。
【クリプトアート】日本のアーティストは?
海外で有名アーティストが誕生する一方、日本ではどうでしょうか?
VRアプリ【Tilt Brush】で絵を描く、VRアートの第一人者・せきぐちあいみさん。
【NFTアート】の波に乗り、NFTのプラットフォーム『OpenSea』にて作品を出品されました。これが、約1300万円で即日落札!
その後も、NFT化した作品をどんどん出品されていて、次々に落札されています。
そして最近では、世界的アーティストの村上隆氏が【NFTアート】作品を出品。(いったん、出品を取り下げたとのことです。くわしい解説はコチラ↓)
>>>【NFTアート】村上隆が出品を取り下げたのはなぜ!?《わかりやすく解説》
そんなわけで、せきぐちあいみさんを皮切りに、アート界からも続々と【NFTアート】へ参加する流れが生まれつつあります。
ちなみに僕も絵を描くので、NFT作品にしています。参考までにSaiのアートコレクションはこちら↓
>>>SAI_NFTコレクション『Culture & Pattern series』
売れようが売れまいがガチで10年以上やってきています。
NFTと出会うまでに考えてきたことも、興味持っていただけたらうれしいです↓
>>>【絵描きをやる意味】考えて、美しいものをものをみつける《絵描きの自己紹介ページ》
【NFTアート】にするメリットは?
では、アート作品をNFT化して【NFTアート】にするメリットは何でしょうか。
ざっくり言うと、こんな感じです。
- アーティストが、ギャラリーを通さずに直で発表・販売できる
- “オリジナル作品”という価値まではコピーできない
- デジタルデータなので、管理がラク
- 転売された時、作者に還元できる仕組みがある
- シリアルナンバーを付けて販売できる
ひとつずつ見ていきましょう。
NFTアートのメリット①アーティストが直で発表・販売できる
まず、「アーティストが、ギャラリーを通さずに直で発表・販売できる」。
今まで、「ギャラリーに訪れたお客さんが、展示された絵を気に入って買う」という流通経路があったわけです。
これが、アーティストが直で【NFTアート】を発表して、ギャラリーを介さずに販売できるわけです。
もちろん、インターネットによって直での取引はしやすくなっているわけですが…
【NFTアート】なら“オリジナル作品かどうか”、素人でも判別できるわけです。
ただ、このやり方で売れるのは、有名なアーティストや固定のファンがすでにいるアーティストになります。
無名のアーティストが【NFTアート】を発表したところで、カンタンに売れるわけではないです。
でも新たな流通経路が増えるのは、アーティスト側にとっても良いことですね。
NFTアートのメリット②“オリジナル”という価値まではコピーできない
NFT化して【NFTアート】にしても、「コピーできない」というわけではないんです。
あくまで、「どれがオリジナルか」を証明できるのがNFT。
「え…じゃあ、別にコピーでも良くね?」と思うかもしれませんね。
そこで、こう考えるのはどうでしょう。
有名な名画があって、それとウリふたつのニセ物があったとします。
ほとんど、見る側からしたら、絵の内容は変わりません。
ですが、価値は本物とニセ物で全く違いますよね。
内容や絵の具の成分がまったく同じでも、「本物だから価値がある」。
アート作品の価値というのは、こうした幻想から成り立っています。
アートだけでなく、世の中は幻想だらけです。僕らの持ってるお金だってそう。
ためしに奈良公園のシカに、一万円札を差し出してみてください。彼らは、「紙に一万円の価値がある」なんて幻想を持っていないので、おいしく食べてしまうことでしょう。
話がそれましたが…本物とニセ物の違いは、単に見る人の「意識」です。
オリジナルの【NFTアート】か、コピー作品か。作品データとしては差がありません。なので、その幻想を受け入れられない人も出てくるはずです。
しかし!ここに「取引の履歴」が加わるとどうでしょう。オリジナルの【NFTアート】なら、誰から誰の手に渡ってきたのか、流れがすべてわかります。
ここに「ジャスティン・ビーバーが所有していた作品だ!」とか、「所有者はみんな大成功している!」といった情報が加わったら…
オリジナルとコピーの間には違いがある、という幻想も生まれるとは思いませんか?
ここはそれぞれ、ご自身で考えてみてもらいたいポイントではあります。
NFTアートのメリット③デジタルデータなので管理がラク
これは、製作者にとっても、購入者にとっても良いことです。
リアルな絵画作品なら、保管状態が悪ければとうぜん傷んだりするわけです。
その点、デジタルデータの【NFTアート】なら、劣化もせず、場所も取らず。管理がしやすいわけです。
データをすっ飛ばしてしまったらどうしようもないですが…
NFTアートのメリット④転売されるたび、作者に還元される
ここがすごいところ!!
二次販売(転売)された時に、作者がもらえるパーセンテージを決めることができます。
ここで、「10%」と決めておけば、作品が転売されるたびにその額の10%が制作者に還元されます。
いままで、作品が転売されても製作者は全く利益になりませんでしたよね。
でも、この仕組みによって、作品の取引が盛んなほど作者に還元される!
まぁ人気作家にならなければ発動しないものではありますが…
めちゃめちゃ夢のある仕組みだとは思いませんか!
NFTアートのメリット⑤シリアルナンバーを付けて販売できる
同じ作品を、「限定10枚」といったように、番号を付けて発売したりもできるわけです。
【NFTアート】なら、こういった方法でプレミア感、レア度を生み出すこともカンタンにできてしまうわけです。
「限定」とはちがって、権利ごと売ることもできます。
例えば、「この作品を使ってTシャツ作ろうが、グッズ作ろうが、買った人の自由ですよ」といった感じでの販売も可能。
デジタルデータだからこその強みを活かすことができます。
【NFTアート】のサービスやマーケットプレイスは?
正直、今のところ日本で【NFTアート】をはじめるなら大手プラットフォーム『OpenSea』一択という感じがします。
ただやはり、海外のサービスなので英語の壁があります。
Google翻訳などを使わないと、「うっ」となる方も多いでしょう。
『OpenSea』はわかりやすいほうですが、他の海外サービスを使うとなるとまだまだ敷居が高いです。
が、日本国内でも『Nanakusa』や『Chocofactory』など、【NFTアート】を扱うサービスは今まさに出てきてる状況です。
【NFTアート】に興味がある方は、そういった続々と出てくる日本のサービスをチェックしてみると良いでしょう。
大手企業の楽天やGMOも、NFTに参入しています。
大手企業がどういうサービスを展開するのか、僕らがどう使えるようになるかは見ておいた方が良いでしょう。
NFTのプラットフォームやマーケットプレイスについては、こちらにくわしくまとめています↓
>>>【NFT・クリプトアート】のプラットフォームはどこがいい?《海外の4つ+日本発も紹介》
【NFTアート】作り方は?
【NFTアート】は、作ろうと思えば誰でも作れます!
いろいろ下準備などは多いですが、ひとつづつクリアすれば問題なし。
実際に『OpenSea』での作り方をこちらの記事にまとめました↓
>>>サルでもわかる【NFTアート・クリプトアート】の作り方《初心者でも簡単に作れる!》
【NFTアート】は誰が買うの?
もちろん、【NFTアート】を売っているマーケットにアクセスすれば、あなたにも買えます。(対応する仮想通貨を持っていれば)
主に【NFTアート】を買うのは、“作品が欲しい”と思ったコレクターか、“この作品は価値が上がるかも”と思った投資家です。
「コレ欲しい!」と思って買うぶんにはいいですが、「これは価値があるだろう」と思って買った場合…
正直、今はバブルの熱狂に包まれていたので、どれだけの作品がどのくらいの価値があったのか…さっぱりわかりません。
Beepleさんやせきぐちあいみさんのような、アート史に刻まれるような作品なら価値がはっきりと認められているはずです。
が、アートの文脈にまったく関係なく高値が付いた作品などは、その後も転売できるような価値があるのか…今後わかることでしょう。
現代美術の専門家・Rebekah Bowling氏はこう語っています。
明確で興味深いコンセプトを持つNFTが生き残るだろう。
このNFTというテクノロジーは、特にデジタルを基盤とするアーティストや、
これまで作品を商品化する方法を持たなかったアーティストに、人生を変えるような可能性をもたらし得る。
「アート」というと、“感覚”とか“感性”みたいなイメージを持たれている方が多いですが、アートは“ロジック”の世界です。
批評家が「これこれこうだから、この作品はすごい!」と、説明できる作品だけに価値が与えられるのがアートです。
「そんなのイヤだ!」と思うかもしれませんが、そういう世界なのです。
なので、アートの文脈として「新しい試みかどうか」とか「そこに哲学があるか」みたいなことって、大事なんです。
もちろん、それぞれが好きなようにアート表現するのは自由です。
お絵かき作品は、一般の売買には向いていますが、アートとしての価値はつきません。
アート界で【NFTアート】がこれからどういった価値になるのか。ヒジョーに興味深いところではあります!
【NFTアート】のリスクとは?
【NFTアート】を作ってみたい!と思うアーティストも、これからどんどん増えるでしょう。
【NFTアート】のリスクも軽く言っておきます。
【NFTアート】は、『イーサリアム(イーサ)』などの暗号資産で売買されます。
なので、暗号資産についての勉強は必要になってきます。
ざっくりいうと、『イーサリアム』はサービスを動かすシステムのことで、そのシステムの使用料を通貨の『イーサ(ETH)』で支払います。
あなたが作品を売る時や、売れた時に『イーサ(ETH)』などの暗号資産を持つことになります。
すると、暗号資産なので価値がけっこう変動します。まだまだ日本円などより価格の変動が激しいです。
そういった、「暗号資産の価値変動リスク」は知っておく必要があります。
そして、暗号資産を入れておく『ウォレット』。これはデジタルなお財布です。
ハッキングされないようセキュリティに気を配ったり、パスワードを忘れないように管理したりしておくことも大事です。
NFTアートに興味あれば、『Metamask』というウォレットにお世話になると思いますので、作り方をまとめた記事を貼っておきます↓
>>>サルでもわかる【Metamask(メタマスク)】の始め方《必須なウォレットアプリ》
あと、これは【NFTアート】を作る作らないに関わらず、問題になりそうな話ですが…
アナタがネットにアップした作品を勝手にNFT化して、出品するようなヤツが出てくるかもしれません。
NFTサービスでは、NFT化している人が作品を作った本人かどうかまでは確認していません。
なので、世の中にあふれているデジタルデータを、誰でも「自分の作品」と言ってNFT化できてしまいます。
ここらへんは、今後【NFTアート】の問題になってきそうなところです。
【NFTアート】まとめ どう花開くかは未知数だけど…面白いことになる!
【NFTアート】のこれからが、どうなってゆくのか。
今まさに激流の真っただ中なワケで。一体、どうなってゆくのか。どこに落ち着くかは予想つきません。
ただひとつ言えることは、アートの歴史の新たな1ページが書かれている、ということです。
絵画の歴史をたどって、ただの便器をアート作品として飾った現代アートがはじまり。
キャンパスを飛び出し、街中の壁を作品にするアーティストも話題となり。
新しいコンセプトや概念を持った作品が、アートの歴史として刻まれてゆきます。
そこへ、テクノロジーによって現れた【NFTアート】。
【NFTアート・クリプトアート】だからこそ生まれる新しいアートも、今まさに「ゴゴゴゴゴゴ」と、うごめいていることでしょう。
絵描き・アーティスト目線で考えるなら、【NFTアート】だからこそできることって何だろう?
とイメージをふくらませてみるのが、面白い【NFTアート】を生み出すきっかけになるのではないでしょうか。
最後に。
芸術・アートへの関心のなさ。この島のアートの現状に、憤りのないアーティストはいないはずです。
北斎も草間彌生も、海外で価値を見い出された輸入品です。しかし。
これからのアーティストは、海外だけでなくこの島でもたくさん発見される…【NFTアート】が、そういった道を切り開くきっかけになったらいいな、と願っています。
世の中でよく言われるような「精神的な豊かさ」というのは、「経済的な豊かさ」に直結します。
「人に価値を認められたモノ」にしか価値を見出せないのなら、財産はそのひとつしかありません。
「お金」という価値のモノサシしかない土地は、どんどん貧しくなるばかりです。
「お金じゃない」のモノサシをつちかって、「お金」以外にも価値を見出せるなら、財産はどんどん増えます。したがってその土地は、お金でも豊かになります。
芸術・アートに関心を持つことは、実は最も素晴らしく、まっとうな錬金術なのです。
大事なのは、「幻想に価値を見い出す、豊かな心」があるかどうか。
絵画作品なんて、ほんとにただの幻想なんです。ただ単に、紙に絵の具が乗っかっただけのものにすぎない。【NFTアート】だって、0と1の羅列にすぎない。
でも、人はそこに美しさを見い出すことができる。
そして今、【NFTアート】という巨大な幻想が、歴史に放り込まれました。信じ込むことに成功すれば、僕たちはそこに豊かな新大陸を発見できるでしょう。
この幻想をリアルにできるかどうかは、僕らの心しだいです。
「よし、NFTでアート作品を作ってみよう!」という方はコチラ↓
>>>サルでもわかる【NFTアート・クリプトアート】の作り方《初心者でも簡単に作れる!》
他、【NFT・クリプトアート】についての記事はコチラにまとめています↓
>>>サルでもわかる【NFT・クリプトアート】始め方・作り方・売り方《まとめページ》
僕も絵を描くので、NFTにして出品しています↓
>>>【絵描きをやる意味】考えて、美しいものをものをみつける《絵描きの自己紹介ページ》